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MICHAEL SHEEN 1969/2/5 UK
「クィーン」でブレア首相を演じたシーン。似てるーっと思った人は多いだろう。当の本人がどんな人かは知らないが庶民的な若い首相を演じた彼はとても魅力的だった。
彼を最初に見たのは「アンダーワールド」のヴァンパイア。ただでさえ異形の者(笑)なのに邪悪さ満点。特徴のギョロっとした目をギラギラさせて確かに人間離れした形相は全編に渡って暗い画面の中でも目立ちその存在感は抜群。
「アンダーワールド」では目立ちこそすれ好み的に魅力的には思えなかったが、次に観た「サハラに舞う羽根」の彼はヴァンパイアに比べればかなりソフトになっていた(当たり前)。作品としてはややいただけないのだけど主演のヒース・レッジャーを囲む友人たちがシーン、ルパート・ペンリー・ジョーンズ、クリス・マーシャルと英国の若手俳優を揃えていて非常に楽しめた。シーン演じるトレンチは祖国のために命をかける英軍兵士だが、中盤以降に捕虜となりぼろぼろのなりで登場しレッジャーと決死の脱出劇を演じるため出番は多い。
「タイムライン」「キングダム・オブ・ヘブン」と続くいわゆるコスチュームもの。シーンの古風な容姿、舞台俳優でもありその力強い演技のせいか非常に迫力があり似合う。「タイムライン」は敵側の英国軍を指揮し、言うまでもなく嫌らしいくらいの憎まれ役をかっている。ジェラルド・バトラーとの戦いぶりは見応えあり。
「キングダム・オブ・ヘブン」は序盤の僅かなシーンでの出演に留まるが、鍛冶屋のオーランド・ブルームの脇のギラギラした目の彼は間違いなくシーンで嫌でもわかった。(笑)
スーツ姿の現代人の彼を見るのは「ブラッド・ダイヤモンド」が最初になる。今年「クィーン」で姿を見られるのは知っていたがこちらはまったく知らなかったのでびっくり。衣装が変わってもイメージは付いてまわるのか、お世辞にも善良なキャラクターとは言い難い。利益優先を考える企業の人間だもの。しかも巨大な金額が動くダイヤモンド市場。現代人のやな奴もリアルだ。
でもって「クィーン」である。彼がブレアを演じるのはTVドラマで若き日の彼を演じて以来2度目。今度は就任間もなく一大問題に直面する首相で、はじめて女王に謁見する時の固まった笑顔に始まり、事故後の国民の間に広まろうとする王室への不信感を察知して女王に声明を発表する事を提言する必死の表情。女王と何度か会話を交わすうちに彼女の心の内に触れて理解を示す。ブレアの心の変化の表現は見事だと思う。
若く庶民的で英国にしては異質な感さえするこの首相を時に滑稽に時にチャーミングに応援したくなるような人物にしたのはシーンだ。ミレン演じる女王の静かな威厳と人間らしさを、彼の演じたブレアの存在がバックアップして輝かせていたとも思う。
ミレンだけでなく彼も英国アカデミー賞で助演男優賞にノミネート。ロサンゼルス映画批評家協会賞では受賞している。
ウェールズ出身で王立演劇学校で演技を学び、舞台での評価も高い。今後、映画では役の幅を益々広げていってくれることと思う。敵役で光る俳優はとても期待できるしね。
余談だがケイト・ベッキンセールとの間に一児がいるが、彼女は「アンダーワールド」で出会ったレン・ワイズマン監督とじきに結婚。シーンも共演してたのにねえ。失礼なっ!
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