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ROMAIN DURIS 1974/5/28 フランス
一見して濃い。決して私の好みのルックスではない。でもデュリスが出ていると、なぜか彼に目が釘付けになる。とても観る者を惹きつける何かを持っている、魅了するものがある人だ。
もともとそういう魅力のある人なんだと思うが、私が惹かれた理由はもうひとつある。セドリック・クラピッシュとの相性の良さが抜群で新作の“Paris”で6本を数えるが、クラピッシュ作品中のデュリスがどれをとってもキャラクターがいいのだ。基本的にクラピッシュ作品は大好きなんだけど、デュリスに注目したのはクラピッシュ作品がきっかけ。じゃなかったら、私の好みの違いからしてもそれほど気に留める俳優にならなかったかもしれない〜。
デュリスのデビューはクラピッシュの「青春シンドローム」に始まる。これを観たのはつい最近。高校時代の同級生4人がある病院で再会する。そこにデュリスはいない。高校時代の場面に戻ってとっても可愛らしい彼等とデュリスの姿があった。学校という体制に反撥し、バカ騒ぎを繰り返しながらも、一方では丸め込まれるものあり、高校生ならではの悩みにぶち当たり、悩み、傷つき・・・。よくある話かもしれないけど、素直にどこか染み入ってしまう。デュリスのキャラクターがまた、しんみりさせる役どころ。クラピッシュが彼を気に入って起用する訳がなんとなくわかる気がする。
私が最初にデュリスを気に入ったのは同じクラピッシュ作品の「パリの確率」だった。これがまた変わった作品でSF?コメディ?なんとも形容しがたい変わった作品なんだが、かなり好きなんだよねぇ。デュリスと名優ジャン・ポール・ベルモントの関係が可笑しいったらない。なんつったってデュリスのほうが“パパ”ですもん。
作品が面白かったのでそれで憶えていたデュリスを、好きだなーと思ったのは「スパニッシュ・アパートメント」から。これもクラピッシュ作品だと知って彼とのコンビを改めて追いかけ始めることになった。
「スパニッシュ・アパートメント」は続編の「ロシアン・ドールズ」と合わせて私の永久保存版。バルセロナに集まったヨーロッパ各国の学生たちの青春ドラマだが、中心となるデュリスの魅力大爆発。このデュリスのキャラクターは決して褒められたキャラクターではないんだけど、“20代から30代の男(の子?)ってこんなもんだよ〜”と、女の私はそう思う。生々しくはあるけれど、とっても素直。誘惑に駆られることもあり、そして裏切ってしまうこともある。それを後悔して焦り、本当に愛する人のもとに全力で戻ろうとする。それでいいじゃないの、可愛いじゃないの!内心、一時は泣いてしまっても、怒りまくっていたとしても、受け止めて許してやれる女になりたいと私は思うのだ。
そう、許せてしまう可愛さがデュリスにはある。そんな男のリアルさというか素直さというか、ストレートに伝わってきて、ある意味清々しいとさえ思えるのだよね。これって、デュリスだからかもしれない。世の男どもみんなに通用することではないでしょうな(笑)。
この2本で決定的に気に入ってしまったデュリスだが、彼の魅力は作家性のある監督にとっても感じるものがあるらしく、トニー・ガトリフにも気に入られて「ガッジョ・ディーロ」「愛より強い旅」。ジャック・オディアールの「真夜中のピアニスト」に起用される。
クラピッシュ作品に見られる素直な若者像とはまた違ったタイプの役だが、どれも見応えあり、俳優としてのデュリスの幅の広さを認識した。ガトリフ作品のデュリスは野生児そのもの。溢れんばかりの生を撒き散らしながら旅する青年が、眩しいくらいスクリーンいっぱいに飛び跳ねている印象を与える。
「真夜中のピアニスト」はフィルムノアールといったタッチの作品だが、タイプは違えども彼が演じる青年に、やはり人間としての生を常に感じるのだよね。何か発するオーラみたいなものがあるのかなぁ。
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