ダニエル・オートゥイユ
2007-03-26


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DANIEL AUTEUIL  1950/1/24  アルジェリア

2007年元旦に観た「あるいは裏切りという名の犬」で、すっかりはまってしまったダニエル・オートゥイユ。映画自体が男の世界、生き方みたいなものを前面に出した作品だったが、彼の渋さとあの内に秘めた情熱。背中に漂う哀しさ。くーっ、もうどうしようかと思った。(笑)

前から良く見ている人だと思っていたが、その実、彼の30年のキャリアのうち10本も観ていないことに気づいた。慌てて、ぷちダニエル祭りをしてみたもののあまり旧作が見つからなくて、ま、これからの楽しみとしてとっておこうか。
初めて見たのは多分「橋の上の娘」。モノクロバージョンだったと思う。彼のナイフ投げ。的になるヴァネッサ・パラディのせいもあるが、あの官能さはちょっとどきどきした。ハンサムでもない、たくましくもなく、威厳があるでもない中年男。なのに何か惹かれるものがある不思議な人だなと思ったがその時はそこまで。
その次が「王妃マルゴ」。この時の彼はイザベル・アジャーニの夫だが、王のクセになんとも情けなく器の小さな男で、アジャーニのボリュームにかすむかすむ。豪華キャストの中にあってすっかり埋もれてしまって、彼だということを忘れていたくらい。再見して、ああ、そういえばそうだったなあーと。まあ、そういうキャラクターなので、ある意味大正解の演技ではあるのだけどね。

彼の俳優としての演技と作品の魅力が一緒になって胸に迫ってきたのは「八日目」が最初。やっぱり基本的に優しい人物像が似合う人なんじゃないかと。孤独な男が身寄りを無くしたダウン症の青年と一緒に旅を続けていくうちに、彼のピュアな心と笑顔が自分にも伝染していく。オートゥイユの笑顔も優しいのだよね。現実と希望とが微妙に混ざり合うちょっと辛い物語ではあるけれど、この手の題材にしては嫌らしさは感じなかった。オートゥイユの自然な名演もその一因じゃないかと思う。
「サン・ピエールの生命」では、妻が囚人の男に情が移って逃がそうとしたってのに、彼女のその気持ちもひっくるめて愛し、自ら反逆罪に問われることも覚悟する・・・こんないい人いるかい!?と思うくらいすっごくいい人。だけど彼の穏やかな表情を見てると思っちゃうんだな。もしかしたらこんな人も・・・いるのかも?

しかし私が一番好きなのは、「メルシィ!人生」!!!
ここまでコメディで見るのは初めてで、最初はびっくり。まじボケ系キャラクターのオートゥイユ。巻き込まれ型でボーっとしているうちに笑いの渦中にいる。"あの帽子"を被ってパレードする呆然とした表情がなんともいえん。"あの写真"も死ぬほど可笑しい(笑)。フランシス・ヴェヴェール監督の作品ならではの可笑しさなんだが、ここにオートゥイユを起用したセンスは拍手ものだ♪

で、「ある犬」で、どっかーん!となったわけなんだが、彼への興味は今後もますます尽きない。
共演も多いジェラール・ドパルデューやジュリエット・ビノシュと共にフランスの名優に名を連ねる重鎮。多彩な作品がまだまだ。
若い頃のコメディ「ザ・カンニング」シリーズから醜男の農民を演じた「愛と宿命の泉」。近年は「隠された記憶」なんてサスペンスも。
未見の「愛と復讐の騎士」はかっこいいらしいし、エマニュエル・ベアールとのロマンス「フランスの女」「愛を弾く女」などは相当艶かしいらしい・・・。み、観なければっ!!!(笑)
[actor(タ行)]

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