ウィリアム・フィックナー
2006-07-02


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WILLIAM FICHTNER  1956/11/27 USA

"ディザスタームービーのアンサンブルキャスト"で2度ほど名前を挙げたウィリアム・フィックナーを今回は個人名に昇格。
初見は「アルビノ・アリゲーター」か「アルマゲドン」のどっちか。どの作品も彼の印象はかなり強い。そんなに出演シーンがなくても彼だと絶対わかる。
以前に彼の名前を挙げたのは「アルマゲドン」のNASAのパイロットと「パーフェクト・ストーム」の漁船のクルー。当然どちらもとても印象的だったので名前を挙げたわけだが、まったくこの人はバイプレイヤーの代名詞とでも言うかのように大作話題作からインディ系まで引っ張りだこ状態。映画好きな人なら彼の顔は絶対に一度は見ていると思われるくらいにかなりのワーカホリックに見える。

ちょっと病的な面長で冷たい目のルックスと細い身体はまるで爬虫類系。「アルマゲドン」や「コンタクト」の体制ガチガチの管理者タイプ、「ブラックホーク・ダウン」「パール・ハーバー」の軍人なんてお手の物だろう。

病的な面を強調すると「アルビノ・アリゲーター」「蒼い記憶」「go」「MONA彼女が殺された理由」などで見せるキレやすい犯罪者、狂信的な人物などに表れるが、彼のこういうところが使われるのはインディ系に多い。彼の個性がよく知られている証拠だと思う。

悪役敵役に望まれるルックスなのは確か。なのにそればかりが目立つわけでもないのが彼の面白いところ。病的に見えるということは繊細さがあるということか。
「クラッシュ」で見せた管理者側の顔バリバリだがこれがちょっと微妙。正義や理想はわかっちゃいるが政治的な思惑や利害関係から正道とは言えない道を選ぶこともやむをえないというこの世界に死ぬほどいるだろう人間像をリアルに演じていたのには説得力があった。
「リベリオン」や「ウルトラヴァイオレット」の反政府側の人間なども彼がやると妙にリアルだ。正しい正しくないは別としてこういう人って実際にいそうだもん。

繊細なタイプというとラブストーリーに使われやすいものだがフィックナーのようなルックスにはこの手の役はなかなか回ってこない。彼のロマンチックロールをはじめて観たのは彼を認識して11本目だった。かなり興味があってきっとかっこいいジェントルマンなんだろうと思っていた。確かにかっこよかったのだが、なんと相手がデミ・ムーアだった。「薔薇の眠り」がそれだ。彼女の相手役となると探すのは大変なんだろうな。そこにきてフィックナーとステラン・スカルスゲールドが選ばれたと言うのはなるほど納得のような気もする。

近作の「ウルトラヴァイオレット」でもみせた反体制側の彼は戦士であるミラ・ジョヴォヴィッチのよき理解者だが、彼の目はどう見てもミラを愛しているとしか思えない。
更に「美しい人」のフィックナーは必見。もう愛する女にめろめろなのだ。この役は一言で済ませるキャラクターとは言えないのだが彼ならではないかと思う。冷たい目をしているのに愛する女を見つめるその眼差しは非常に切ない。
ワイルドでもありソフトでもある、クールでもあり温かみもある彼が非常に魅力的だ。

今回UPするきっかけとなった新作の2本。「ウルトラヴァイオレット」と「美しい人」。両方とも2005年作。タイプの違う役をそつなくこなしてしまう彼は紛れもなくカメレオン俳優。貴重なバイプレーヤーであり名優の一人だと思う。
[actor(ア行)]

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