ピーター・サースガード
2006-01-28


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PETER SARSGAARD  1971/3/7 USA

初見は「ボーイズ・ドント・クライ」かと思っていましたが、彼の映画デビュー作「デッドマン・ウォーキング」で見ていました。といっても、森の中で殺されてしまったカップルの一人で回想シーンで数回の登場なので憶えていませんでした。再見で確認。ひたすら彼女と自分の命乞いをする青年で哀れにも泣き叫ぶうちに殺されてしまいました。

「ボーイズ・ドント・クライ」のぶちぎれ具合が激しい恐ろしい男の印象が強かったのですが、その後はなんだか全然別人。赤ちゃんみたいなふにゃっとした顔をしていてとてもキレたら怖い男にキャスティングされるようには見えなかったのですが・・・いやいや、サースガードはひとくせもふたくせもある演技派だったことが判明。
「K-19」で若い原子炉担当の下士官として乗り込んできた彼はいかにも頼りなげ。原子炉事故によって誰かが被爆覚悟の処理にあたらなければない時はびびってしまう。「K-19」の乗組員はサースガードのような若者が大半。いかに残酷な事故だったか、実際に起こったこともあって若手の俳優の演技にはかなり悲哀を感じましたが、ハリソン・フォード主演なんだよねぇ。

「夢見る頃を過ぎても」は一筋縄ではいかない役どころでいかにも彼らしい。作品的にはそんなばかな的なストーリーではあるがキャスティングが面白いのでまあいいかぐらいの印象。
赤ちゃん顔の笑顔炸裂なところを見せておいてこの展開は、サースガードを知っていた私には読めてしまったのですが、まあいいでしょう。この二面性は今後も使われることと思われる。

ところが「ニュースの天才」の彼は今までにない地味な役で意外。「ニュー・リパブリック」の編集部でみんなから信頼を得られていないのを判っている新任の編集長。スティーヴン・グラスの記事捏造事件に編集長としてあたらなければならなくなる。その苦悩ぶりは抑えた静の演技で見事だった。グラスの記者生命も救ってやりたい最初の苦悩と、救えないほどの大事で「ニュー・リパブリック」をどう守ったらいいのか、編集部員にどう納得させたらいいのかその変化も演じていて難しかったろうなと思う。自信なさげな顔から厳しい決断を下す時までの表情の変化は見事。と思ったらこの役で彼はかなりの評価を受けた模様。色物じゃなくてこういう役が物をいうらしい。

もう1本「赤い部屋の恋人」のサースガードも見応えあり。人間づきあいの下手な超インドア人間の彼は一人のダンサーを買う。一週間ベガスで一緒にすごす契約だがセックスはなしという条件付。次第に互いに恋してしまうかに思えたが・・・という彼には珍しい官能的な話だがそう簡単な話じゃない。
なんともまた頼りなげな世間を知らなさ過ぎる彼があまりに悲しい。そんな切ない表情を見せるのがサースガードの魅力の一部じゃないだろうか。

「ニュースの天才」以降、オファーが続々らしく新作の話題が絶えない。なかなか面白い作品をチョイスする人なので期待大。
まずはリーアム・ニーソンの「愛についてのキンゼイ・レポート」だろうか。ちょっとクラシックな雰囲気だが今度は善側か悪側か?サースガードの場合、どちらもいけるので開けてみるまでのお楽しみにしておこう。

初出:2005/7/27(水) 午後 9:00


既出:コメント

偶然「夢見る頃を過ぎても」を見たところです。ネタバレになるといけないので感想には彼の名前を出さなかったのですが(苦笑)ある意味キーマンでしたね。 見た目と中身のギャップは、彼の得意とするところなんですか?
2005/7/28(木) 午前 8:21 [ 哀生龍 ]


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[actor(ハ行)]

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