エド・ハリス
2006-04-10


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ED HARRIS  1950/11/28 USA

どんな作品でも安心して見ていられる名優。今や重要な脇役でお馴染みの顔だが、その圧倒的な存在感が時に主役を喰う程。敵であったり上司であったり父であったり、カリスマのある犯罪者から孤高の芸術家までその役柄は様々で、そのどれをとっても感心させられる。
70年代後半からスタートしたキャリアはこの25年ほどで40本以上の作品を数える。最近は主演に加えて「ポロック」で監督にも進出し評価されている。

映画を観始めた当初から彼のことは見ている気がするので、最初に見たのが「アポロ13」か「ライトスタッフ」か「ザ・ロック」か・・・いずれにしてもどれもこれも印象深い。
「アポロ13」はNASAのアポロ13計画の責任者。白いベストの彼である。知的で頼りがいのある上司として理想的な人物。役の偉い人度ではこれが一番かな?
逆に精鋭スタッフの一人だった「ライトスタッフ」は今となっては懐かしい。もう彼が大勢の中の一人という役で見ることはないだろう。フレッド・ウォードやデニス・クェイドとアストロノーツになるためのテストで張り合うのが子供みたいで可愛かった。
重厚な感じがありながらもどこかアウトローな雰囲気があるのもこの人の魅力。独自の考えを持って捜査に当たる「目撃」の刑事。海底基地で奮闘する「アビス」の超頑固な男などはその典型。
これを変化球で展開させて見方を変えると強烈な悪役になるのだな。「ザ・ロック」の犯行の首謀者、「スターリングラード」のスナイパーはカリスマ性があってぞくぞくするほどかっこいいんだ、これが!
最近はそこに年齢と共にサイコな味付けがされてきた。「白いカラス」の暴力男、「戦争のはじめかた」の偏執おやじ。新作の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」では特殊メイクで形相まで変えて・・・嬉々として演じているように見えるのは気のせいか?
さらに悪役色濃厚路線に留まらず「ポロック」では感性が鋭すぎる画家、「めぐりあう時間たち」の余命幾許もない作家など気迫を感じる演技がここ最近続いている。
ところでこんな彼に私は大人の男の色気を感じることしばし。「ポロック」は激しい男でもあるが妻に見せる一瞬の表情にどきどきしたし、「めぐりあう時間たち」の彼も射るようなあの目と華奢な身体が病人役とはいえセクシーだった。こんな男は得てして愛される運命にある。
「ミルク・マネー」や「グッドナイト・ムーン」のような毒のない男だと今度は持ち前のダンディズムが女を魅了するようで・・・。なかなか役得♪

しかし私にとって究極のエド・ハリスは「トゥルーマン・ショー」のクリストフ。
支配者であり人格者、子供のような夢を持ち合わせたクリエイターであり、ちょっとサイコちっくな悪役でもありつつ、我が子を見る父親のような彼はあの愛しげなまなざしでジム・キャリー演じるトゥルーマンを見つめ続ける。
クリストフは言ってみれば“神”だ。究極のこの役を演じるエドがとにかく素晴らしい。
この年彼はGG賞を受賞したがアカデミー賞は受賞ならず。以後も助演に主演に何度もノミネートされているが・・・。でもやっぱり「トゥルーマン・ショー」でオスカーあげたかったなー。
またこんなすごい役が来ることを願う!

初出:2006/4/1(土) 午前 0:26
[actor(ア行)]

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